まずは、部屋のかなりの面積を占め続ける「本」をブックオフに売却した。これだけで、見違えるように部屋が広く見えてきた。やっぱり引っ越ししないでいいかなあ。掃除をすると、いつも思う。
さらに掃除を進める中、普段あけない引き出しをあけると、なんと「正美荘日記」が出てきた。
正美荘とは、東京都大田区大森に存在したアパート。現在は取り壊されて、跡地には3棟の住宅が建っている。
この正美荘で、2005年3月‐2008年2月までの3年間、僕は友達2人と共同生活を行っていた。2Kの木造貧乏アパートは、冬になるといつも隙間風の吹きすさぶ、「寒い寒い寒い」ところであった。
そうかそうか、正美荘日記はこの家にあったのか。懐かしいものを見つけてしまうと中断するのは大掃除の常、思いもかけない発見に、ついつい読みふけってしまった。
日記は想像以上に面白く、止まらなくなった。なんとなく覚えているけれど、僕はこの期間、なぜかいつもうっすらと「イライライライラ」と何かにいらついている。
そしてイラついてはいるけれど、それでもすっかりその生活を楽しんでいるようだ。
やっぱりはっきり歴然と、このころの自分はひとつのいわゆる「人生の黄金期」にいたのだなあと実感する。
そして今、なんとなく漠然と、熱くなれることや「アゲアゲ」になれることがなく、毎年毎年なんとなく年を重ねていっている自分に焦りと怒りを感じはじめていた原因が見えてきて、胸の奥から何かがぐわーっとこみあげてきた。
そうだ、そうだったのだ。
僕は、結局、この正美荘の頃に自分が考えていた「人生の物語」から抜け出せず、そこに戻ることもそこ以外のどこかに進むこともできずに、本当に自分が悩んでいるのか悩んでいないのかもわからないまま、なんとなく忙しい日々に身を任せてしまっていたのだ。
僕はあの頃、最後に付き合っていた女性がいて、その人と結局のところいつか結婚したいと思っていたんだ。そんでもって、そいつと結婚しながらも「正美荘」の頃の友達と遊び続けて、てきとーに働いて、お酒を飲んで、そんな感じで「正美荘物語の続き」を生きていくつもりだったのだ。
でも、結局それは叶うことがなくて、本当は人生の「次の物語」を見つけていかなければいけないのに、なんだかんだと言い訳を付けては、自分に甘えてしまっていたのだ。
そうだ、そうだったのだ。
薄々は気が付いていたけど、正美荘日記を読み返すと、なんだかどわっと「人生の真実」が目の前に立ちこめてきた。
これじゃー駄目だ。人生、常に、「今が一番楽しい」って言っていられなかったらつまらない。もうそろそろ、覚悟を決めて、いっちょやったる必要があるんじゃないのか。
今年こそ、毎日ふざけて楽しく生きていくぞ!
取りあえず、ビール!
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